空き家を売却するメリット

空き家を売却するメリットは「空き家を管理する手間がなくなる」「固定資産税や維持費など金銭面の負担がなくなる」といったことの他に、「所有者としての責任がなくなる」「現金化することで遺産分割がスムーズに進む」といったことが挙げられます。

売却の際には印紙代や仲介手数料など諸費用が発生しますが、空き家の売却に関しては、所得税の特例があり、要件を満たしていれば最大3,000万円まで所得税が控除されます。また、マイホームを売ったときの特例や、所有期間が10年以上の家屋の売却の際の税金の軽減措置が適用される場合もあります。特例措置を適用するには、様々な要件を満たす必要があります。定められた期間を過ぎたために適用できなかったというケースもありますので、まずは早い段階で不動産業者や税理士などの専門家に相談し、総合的にタイミングを判断していくことをおすすめします。

空き家を売却する際の主な流れ

不動産の売却は主として不動産業者に相談しながら進めていくことになります。

1. 不動産業者を探す
2. 物件価格の査定を依頼
3. 仲介の依頼（媒介契約の締結）
4. 不動産を売り出す
5. 購入希望者と交渉する
6. 売買契約を締結する
7. 契約の履行
8. 不動産の引き渡し（取引）

不動産の売却には煩雑な手続きが発生します。空き家の売却に関することは、空き家の状況に合わせて適切な手続きを進められる、不動産業者に依頼することになります。

そのまま売る

そのままの状態で売却する場合は、 中古物件としての売却となります。リフォームや解体の手間がなく、売り手側の費用がかからないメリットがあります。ただし、商業地や人口密集地など、商品として価値のある空き家かどうかが重要な条件となります。外見は良くても構造部に問題があったり、再利用不可能な場合もあるため、専門家による適切な査定が必要になります。

また、実家や自宅の売却は、思い出の詰まった家を手放す罪悪感が伴い、遺品の整理や家財の処分などに精神的な負担を感じる場合があります。信頼できる遺品整理の専門業者に依頼する方法もありますが、まずは心の準備をするためにも、兄弟などに事前に作業することを知らせておくと良いでしょう。

リフォームして売る

リフォームやリノベーションをしてから売却するのも選択肢の一つです。資産価値を向上させ、倒壊などのリスクが減少するメリットだけでなく、買い手がつく可能性が高まります。なお、リフォーム等で空き家の利用目的を変更する場合や、増築・改築などの際には、申請手続きが発生する場合がありますので、不動産業者や建築業者などの専門家に相談することをおすすめします。

費用面については、中古住宅取得・リフォーム支援制度があり、費用の負担を軽減することができます。耐震性のない空き家を売却する際で、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を受ける場合は耐震リフォームが必須です。また、再建築不可物件の場合は新たに家を建てることはできないためリフォームしてからの売却となりますが、この場合は多くの制約があるため事前の調査が必要となります。

解体して土地を売る

活用予定がない、大規模な修繕を要するなどの場合は、解体して土地を売却するのがおすすめです。空き家の資産価値が低く買い手がつかないが、更地の土地購入希望者は見込めるといった場合に有効です。建物の残っている「古家付土地」より、高く早く売却できる可能性があります。ただし、更地にすると固定資産税が上昇するため、保有したままかかるコストやリスクを検討して、総合的に判断していくことが重要です。また、自治体によっては、空き家の解体について助成制度を設けている場合や、用途によって費用を非課税にする制度を設けている場合もありますので、市町村の窓口で確認をしておくと良いでしょう。

空き家の問題は専門家を活用

空き家問題は所有者だけの問題ではなく、周辺地域にも影響します。そのため様々な側面から解決に取り組むことが必要です。当事者だけで抱え込まずに専門家の知識に頼ることは、空き家問題の発生を防ぎ円満で豊かな生活を送る上でも大切なことです。